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2008年7月28日 (月)

覗く人 / ロブ・グリエ

今回の舞台は、離島。主人公が生まれた場所ということになってます。

ロブ・グリエの小説の舞台は小説ごとに変わっていて、しかし、かなり限定され、拘束力の強い場所になってます。大抵そのひとつの場所においてのみ話が進行していきます。その限定された舞台設定の中で、徹底した情景描写と主人公の意識の内部の客観的記述のみで語られる小説という感じでしょうか。徹底した描写の中に少しづつ主人公の意識が侵入してくるあたりがなかなか緊張感があり、ちょっとサスペンス風に楽しめるわけです。ロブ・グリエの小説には大抵犯罪がからんでくるので心理サスペンス風にも読めます。今回の主人公マチアスも犯罪を犯し、そのアリバイ工作をしたり、証拠を残してないかびくびく考えたりして探偵小説のようでした。

話は変わりますが、先ほど新聞のテレビ欄でナボコフのロリータを読み解くという内容の番組を見つけて少し見てみました。しかし、あまりにつまらない、的はずれな内容だったので途中で耐えられなくなり見るのやめました。ホントに初めの方しか見てないので、ひょっとしたらその先に見るべきものが会ったのかもしれません。一応録画しておいたのですが、果たして続きを見るべきかどうか・・・。

2008年7月12日 (土)

ピンチョンその他

今日、ネットをいろいろ覗いてたら、新潮社からピンチョン全集が出るという話が!

来年刊行予定とのことで全7作品(要するに小説全部ですね。)新訳、初訳で出されるようで、漸く「メイソン&ディクソン」や「アゲインスト・ザ・デイ」が読めることになります。「重力の虹」や「V」なんかも新訳で出るそうです。う、うれしいなあ・・・。

でもあまり大きな期待は持たないようにしよう。この手の新刊予告は往々にして間延びすることが多いからなあ。だいたい「メイソン&・・・」なんか随分前に近刊予告が出てたもんなあ。レム選集もその後出てないし。

それからリチャードパワーズの新刊が近々出るようで、「囚人のジレンマ」も結局まだ読んでないから困ってます。パワースはこれまでずっとみすず書房で出てたのに、今回はこれまた新潮からです。上下2巻で1冊3000円を越える値段。・・・文庫で出してくれないかなあ。でもマルケス全集以降新潮社がんばってますね。

2008年7月10日 (木)

タイタンの妖女 / カート・ヴォネガット・ジュニア

ヴォネガットが亡くなった時に、何か読もうと思って実家から持ってきたのがこの「タイタンの妖女」。そのまま本棚に置いたっきりでした。爆笑問題の太田さんがえらく褒めてるって話を聞いてたので読み直してみようと思ったのですが、他にいろいろ読みたいものもあってそのままになってました。僕としてはヴォネガットの数ある作品の中であまり印象に残ってなかったものなのでなんとなくきになっていたのです。

読み始めて、あれ?と思いました。全く読んだ記憶がないんです。そんな馬鹿なと思いましたが、たぶん買ったまま読まずにいたようです。あるいはニワトリ程度の記憶力しかないと定評のある僕の脳みそが完全に忘れてしまったのかもしれませんが。

この小説はヴォネガットの2作目の長編小説です。この頃はまだ、ヴォネガットの小説の特徴であるカットバック手法は確立されておらず、ほぼ時間軸に沿って話が進んでいきます。でもあらゆる時空間に同時に存在する人物や、お馴染みのトラルファマドール星人なんかも出てきて、代表作の「スローターハウス5」に通じる設定が見られます。

全作品に共通する、なんともやるせない現実の中に何とか希望を見出そうとするような、ほろ苦いユーモアも随所に見られます。

個人的にはやはり「ローズウォーターさん・・・」や「母なる夜」あたりが好きなんですけど、これはこれで面白かったです。

でもこの小説を、未だに聖書に書かれたことをすべて真実とする人が大勢いて、当時はまだ共産主義国と冷戦状態にあったアメリカで出版するというのはけっこう勇気がいっただろうなと感じました。Kv

2008年7月 4日 (金)

ナボコフ自伝 記憶よ、語れ / ウラジーミル・ナボコフ

このところはまってるナボコフの自伝です。自伝だけあって、さすがに小説のように技巧を凝らした部分というのは少ないのですが、やはりナボコフらしい面白さに溢れた読み物になっています。全部で15章に別れていて、それぞれバラバラに発表されたものをまとめたようです。はじめから後でまとめるつもりで書かれたのかもしれません。

とにかく15編からなる連作短編を読んでるような楽しさでした。ナボコフはロシアの貴族階級の生まれで共産革命の時に海外に家族とともに亡命したわけですが、その幼少の頃の話を読んでいると、まさに絵に描いたような貴族の生活で、「この人、ほんまもんの貴族やんか」と再認識させられました。

最初の方に父親の友人であるクロポトキンが家に遊びに来たエピソードがあります。ナボコフとマッチ棒を使った手品で遊んでくれていたちょうどそのとき、軍から使者がやってきて極東方面の陸軍司令官に任命され、急いで帰っていったそうです。

何年か後ナボコフ一家が国を追われ亡命の旅に出たとき、あるところで農夫姿でタバコの火をつけるのにマッチを借りるため近づいてきたのが、同じくボルシェビキから逃れてきた変装したクロポトキンだったという話なんですが、面白いのはナボコフがこのことを良く覚えてる理由が、マッチというものの介在の仕方が興味深かったからというものでした。何年も離れた同じ人物のエピソードにマッチという小道具が登場してるところに面白さを感じたようで、実にナボコフらしい感じがしました。

古本屋さんなどを覗いて絶版中のナボコフの小説はないかと探したりしてますが、中々見つからないですね。先日たまたま神戸の本屋で短編全集の1巻だけを見つけました。古本でもないのに背表紙が少々日焼けして変色してましたが、買ってしまいました。他に未読の本が多々あるのでしばらくは積読になるけどね。Vn

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