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2009年8月26日 (水)

ダブリナーズ / ジェームズ・ジョイス

またまた、新訳シリーズ、超有名作家のジョイスに初トライしてみました。

ジョイスについては「フィネガンズ・ウェイク」の1ページ目を立ち読みして、これは無理と思って以来、難解作家のイメージが固まってしまい、読む気になれなかったんですが、つい魔が差してしまいました。「ダブリナーズ」は以前からダブリン市民とかダブリンの人々といったタイトルでいろんな方が訳されていましたが、これが原題のままのタイトルのようです。

わざわざ「ダブリナーズ」とした理由については後書きにも色々書いてありました。単にそこに住む人々という以上に「ダブリン気質」みたいなものも含んでのタイトルということのようです。ニューヨーク市民とニューヨーカーの語感の違いみたいなもんでしょうか。

読んでみての感想は、この短編集については少なくともさほど難解さを感じないですんだということ。ただやはり僕には短編小説に対する感性が相当欠けているなあと実感しました。1つめの話を読み終わってまず、「え?それで終わり?」と思っちゃいました。この時点で短編小説愛好家失格ですね。

少なくとも起承転結がはっきりしたような話はありません。日常的な1シーンを描いたような小説なんですが、非常にうまく登場人物それぞれの背景、相互関係などが浮かび上がってくるような感じで書かれています。書かれてない背景が感じられると言うか、なんというか・・・。

もう少しダブリンや時代背景がよくわかっていれば、より面白かったかもしれません。

さて、このあと「ユリシーズ」を読むかどうしようか迷ってます。挫折しそうだしなあ、長いし。でもジョイスの作品は大抵文庫化されているので安価で読めるので助かりますね。

Kokologdubliners

2009年8月13日 (木)

一九八四年 / ジョージ・オーウェル

このところの新訳ブームと村上春樹さんの「1Q84」のヒットに便乗したのかオーウェルの1984が新版で出ました。

84年以前に同じ早川書房の文庫で買った覚えがあるんですが、読んだ覚えがない。

たぶん途中で挫折したんでしょう。オーウェルについてはなんとなく政治的においが強い印象があって、その後も手を出してませんでした。今回買ったのも単にピンチョンが解説を書いてるってところに引っかかったせいです。

ピンチョンとオーウェルってなんか関係あったかなと考えてみたら「ヴァインランド」の冒頭のシーンは主人公が1984年の夏に自宅で目を覚ますところから始まってます。そういえば全体に巨大な権力機構に対する強い疑念がただよってましたね。

御存知の方も多いでしょうけどデビッドボウイもこの小説に触発されて「ダイアモンドドッグス」という傑作アルバムを作ってます。

さて1984ですが、やはりある意味ではかなり政治色の強い小説でした。ピンチョンによれば実際米国では例のレッドパージの時代には反共の道具としてかなり利用されたりしたようです。今この小説を読んで真っ先に頭に浮かぶのはスターリン時代のソビエトより北朝鮮のほうかもしれません。

でもホントに怖いのはここに描かれているような管理(監視)社会、情報歪曲、思想統制といったものが結構日常に入り込んでるってとこでしょう。特にインターネットなど新たなメディアが増えた分そういう危険性が増大してます。ネットでのちょっとした書き込みが大勢を巻き込んでヒステリー状態にしてしまい一個人をバッシングする様など作中の「2分間憎悪」のシーンと重なってしまいます。

作中の重要なキーワードとして「二重思考」というものが出てきます。これは2つの矛盾した事実を同時に受け入れるという欺瞞に満ちた思考法とでもいえばいいんでしょうか。

普通に考えるとありえないことなんですが、これも日常簡単にしかも無意識にやってますね。怖い話です。

ストーリーは全体的に重く、結末も悲劇的です。ただ最後にくっついてる「付録」という部分についてピンチョンが面白いことを書いていて、もしそのとおりなら、ちょっと救われた気がします。僕はこの付録部分を途中で先に読んじゃったせいもあってそこまで気がつきませんでした。ドジ。

近未来であったはずの84年はとっくに過ぎてしまいましたが、SF的に言えば、ひとつのパラレルワールドと考えれば違和感なく読めます。

Kokolog1984_2

2009年8月 8日 (土)

宇宙創世記ロボットの旅 / スタニスワフ・レム

Kokologrem 国書刊行会のレム選集の続きははどうなったのかと思ってたら、これが復刊されてました。レムの作品にはいくつかのパターンがありますが、これは泰平ヨンシリーズなどと同じく宇宙ほら話という感じ。

理数系ギャグが多いので、完全な文系の僕には少々辛い部分もありますが、それなりに楽しめます。ほとんど神といっていいほどの能力を持つ2人組が宇宙のいろんな星へ行って様々な難問を解決するという短編集なんですが、レムのシリアスな作品と違って、そんなばかなというような話ばかりでお気楽に楽しめます。

2009年8月 2日 (日)

安部公房全集 3

全30巻の3冊目を漸く読み終えました。

このあたりはまだ1950年代の文章、座談会などをあつめた内容です。

もともと高校生のころ(70年代後半)から「砂の女」「他人の顔」にはじまって「箱男」「密会」といった、

カフカ的不条理に満ちた安部作品にはまっていった人間としてはこの3巻に溢れている時代の空気には正直なところ同時代的な感覚を持ち得ない感じがあります。

搾取、労働運動、階級闘争などといったキーワードが多々出てきたりして、

そういった運動にかなり積極的に参加していたようです。

僕は作家本人についてはあまり知らないのですが、一時期共産党員だったようなことを読んだ覚えもありますね、あまり自信ないけど。そういえば東欧の作家クラブに招待されて行ったりしてたはずだし・・・。

「R62号の発明」という短編が収録されていますが、随分昔読んだはずなのに全然内容覚えてませんでした。このパターンはその後かなり類型化されてしまって、今ならTVの「世にも奇妙な・・」あたりでドラマ化されそうな感じですが、これも資本家の生産手段の寡占、労働搾取といった文脈で読まねばならなかったのかなと納得しました。高校の頃の政治的に完全無知であった僕には理解できてなかったけど。まあ、芸術作品の解釈は受け手の自由だと思ってるのでそんなこと考えなくてもいいのかもしれないですね。

いろいろな意味でこの全集には発見があります。

前に友人から全集なんて自分の好きなところから読めばいいのにと言われたことがありましたが、この全集に限って言えばやはり時系列で編集されたとおりの順番で読むべきだろうなと思っています。気長に。

Kokologabe3

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