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2009年8月13日 (木)

一九八四年 / ジョージ・オーウェル

このところの新訳ブームと村上春樹さんの「1Q84」のヒットに便乗したのかオーウェルの1984が新版で出ました。

84年以前に同じ早川書房の文庫で買った覚えがあるんですが、読んだ覚えがない。

たぶん途中で挫折したんでしょう。オーウェルについてはなんとなく政治的においが強い印象があって、その後も手を出してませんでした。今回買ったのも単にピンチョンが解説を書いてるってところに引っかかったせいです。

ピンチョンとオーウェルってなんか関係あったかなと考えてみたら「ヴァインランド」の冒頭のシーンは主人公が1984年の夏に自宅で目を覚ますところから始まってます。そういえば全体に巨大な権力機構に対する強い疑念がただよってましたね。

御存知の方も多いでしょうけどデビッドボウイもこの小説に触発されて「ダイアモンドドッグス」という傑作アルバムを作ってます。

さて1984ですが、やはりある意味ではかなり政治色の強い小説でした。ピンチョンによれば実際米国では例のレッドパージの時代には反共の道具としてかなり利用されたりしたようです。今この小説を読んで真っ先に頭に浮かぶのはスターリン時代のソビエトより北朝鮮のほうかもしれません。

でもホントに怖いのはここに描かれているような管理(監視)社会、情報歪曲、思想統制といったものが結構日常に入り込んでるってとこでしょう。特にインターネットなど新たなメディアが増えた分そういう危険性が増大してます。ネットでのちょっとした書き込みが大勢を巻き込んでヒステリー状態にしてしまい一個人をバッシングする様など作中の「2分間憎悪」のシーンと重なってしまいます。

作中の重要なキーワードとして「二重思考」というものが出てきます。これは2つの矛盾した事実を同時に受け入れるという欺瞞に満ちた思考法とでもいえばいいんでしょうか。

普通に考えるとありえないことなんですが、これも日常簡単にしかも無意識にやってますね。怖い話です。

ストーリーは全体的に重く、結末も悲劇的です。ただ最後にくっついてる「付録」という部分についてピンチョンが面白いことを書いていて、もしそのとおりなら、ちょっと救われた気がします。僕はこの付録部分を途中で先に読んじゃったせいもあってそこまで気がつきませんでした。ドジ。

近未来であったはずの84年はとっくに過ぎてしまいましたが、SF的に言えば、ひとつのパラレルワールドと考えれば違和感なく読めます。

Kokolog1984_2

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