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2010年7月19日 (月)

賜物 / ウラジーミル・ナボコフ

ワールドカップのおかげで随分時間がかかってしまいましたが、ようやく読み終わりました。
刊行当初から話題だった世界文学全集のラインアップを見たときから、一番楽しみにしていた作品です。
最初の第1章からナボコフらしさ満載でうはうは喜んじゃいました。
人称と視点がどんどん変わっていく文体、独特の隠喩、少々悪意のあるユーモアなど、どこを読んでもナボコフという感じです。
5章からなる小説なんですが、当初雑誌に連載されたときはそのうちの第4章がまるままカットされていたと前書に書かれていたので、そんなことしたら話がわからんだろうと思っていたら第4章はいわゆる作中作で、主人公の書いた小説ということになってました。納得。
この第4章はチェルヌイシェフスキィという実在の人物の伝記なんですが、僕はもちろん初耳だったので、調べてみたらロシア革命初期の活動家兼作家というような人で、レーニンにも影響を与え、最後はシベリア送りになった人物です。ナボコフはこの人をかなり戯画化して書いてまして、そのおちょくり方は筒井康隆級という感じ。共産主義革命で財産すべて持っていかれた亡命ロシア貴族の子息としては、やはりかなり悪感情があったんでしょうか。
また本人は否定しているようですが、かなり自伝的な小説で、「記憶よ語れ」に出てくるエピソードや境遇と物語の背景がかなり重なっています。しかしやはりあくまで自身の体験をもとに作り上げた虚構ということなのでしょう。
詳細なあとがきにも書かれていましたが、これはナボコフの最後のロシア語小説であり、その後の作品のアイデアの源泉がここに集約されているという感じです。登場人物がちょろっとロリータのあらすじをしゃべる場面なんかもありますし。
とにかく面白かったです。難点を言えば名前が非常にわかりにくいという点で、最初少々混乱しました。
すぐにでももう一回読み返したい気持ちなんですが、すでにピンチョンの「メイソン&ディクソン」やその他が積読状態になっているので、そちらが先になりそうです。

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