最近のトラックバック

« ナボコフ新刊 | トップページ | 物質的恍惚 / ル・クレジオ »

2011年3月21日 (月)

ローラのオリジナル / ウラジーミル・ナボコフ

昨日梅田に出たついでに買ってきてとりあえず通読しました。恐ろしく読むのが遅い僕が短時間で読めたのは、そもそも内容が短いからです。

138枚のカードに書かれた未完の遺作ということでしたが、カードの中身はかなりしっかりできている部分もあれば、創作メモのようなものもありという感じです。

本書の構成は息子ドミトリーの序文のあと本文(各ページの上段にナボコフの自筆の創作カードがあり、下段にその翻訳が書かれています。)、それから英語による本文、そのあと中田晶子と若島正両先生による詳細な解説が収録されており、非常にありがたい内容となってます。

未完の小説ということですが、途中で終わってるというわけではなく、構成そのものがまだはっきり定まっていない状態であり、作家がどのように完成させるつもりだったかは想像するしかないというしろものです。小説を書くのに創作カードという形で執筆するというのは、ナボコフの常套手段なのだそうで、そういった創作過程が見れるというのはなかなか興味深いと言えます。

しかし研究者でもない普通の読者としてはやはり完成形で読みたかったなあというのが正直なところです。若島先生のごとく原書から様々なヒントをくみ取って作品を再構成するという楽しみ方ができればいいですが、そこまでの根気も能力もない僕としてはとりあえず、もともとこういうバラバラのカードというスタイルで書かれた小説として読むしかないですね。ナボコフという作家ならばそんなような手法で小説を書いてもおかしくないように思えるので。

そういえばヴォネガットの小説に広告やレシートなどの裏に書かれた無数のメモという設定で書かれた小説がありました。ホーカスポーカスだったかな。

とにもかくにもローラのオリジナルという小説はほんの少しその姿をみせてくれましたが、その本来の姿は永遠に幻のままということで、なんとなくナボコフらしい感じもします。

ついでながら梅田の紀伊国屋ではこの本、小説の棚には置いて無くて、文芸評論のほうに置いてありました。

23183

« ナボコフ新刊 | トップページ | 物質的恍惚 / ル・クレジオ »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/19066/39314153

この記事へのトラックバック一覧です: ローラのオリジナル / ウラジーミル・ナボコフ:

« ナボコフ新刊 | トップページ | 物質的恍惚 / ル・クレジオ »

2017年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ