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2011年8月 9日 (火)

競売ナンバー49の叫び / トマス・ピンチョン

新潮社版の新訳が出たので再読しました。僕はこのタイトルの本を4冊持ってます。一番最初に読んだサンリオ版から筑摩ハードカバー版(おまけの短編につられて購入)、文庫版(これは全く魔が差して購入)で、今回の新訳版。我ながらばかげてるなあ。
せっかく志村訳と佐藤訳が手元にあるので両方を平行して読んでみました。
巷でもピンチョン入門書として名高い本書ですが、僕としてもピンチョンファンになったきっかけになった小説で、いまだに大好きな小説です。他の作品との違いは、圧倒的に短いこと、ストーリーが時間的、空間的にかなり固定されていること、あまり作品の背景に関する予備知識が必要なく読めることなど、かなり読みやすい作品となっています。
他の作品がどんどん外部に広がっていくような感覚があるのに対し、この作品に関しては箱庭的に自己完結してる印象があります。それは、主人公が取り巻く世界そのものが、真実なのか、死んだ元恋人の仕組んだ仮想世界なのかわからないというストーリーによるものなのですが、ちょっと人工的で作り物的な世界の中で登場人物が活動してるような印象があります。また主人公エディパを取り巻く人物たちがエディパを導くと同時に読者をも導くように書かれており、他のピンチョン作品に比べてもかなり親切と言える気がします。
しかし当然のことながら非常に完成度が高く、無駄のない実にスマートな小説で、タイトル、始まり方、終わり方、すべて非常にカッコイイですね。28歳で書いたとはとても思えない洗練された小説です。
さて翻訳についてですが、部分によってかなりニュアンスが違うと感じるところもありますが、どちらがいい悪いということは原書を読むほどの語学力のない僕には判断しかねます。
巻末にそれぞれ詳細な解説が付いていて非常にありがたいです。まあコストパフォーマンス的には筑摩文庫の方が分がある気がしますけどね。新潮の全集に唯一収録されてない短編が1編おまけでついてますし。
今回この短編「生かすも殺すもウィーンでは」も再読しましたが、全く内容を忘れておりました。
おそらく前に読んだときはあんまり良く理解してなかったんじゃないかな。今回は結構面白く読みました。
なぜこれがスローラーナーに収録されなかったかはよくわかりませんが、本人としてはあまり完成度が高くないと感じていたのかもしれません。

Lot49 Lot49chikuma

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