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2011年10月24日 (月)

仮面物語(或いは鏡の王国の記) / 山尾 悠子

1980年2月に刊行された山尾悠子さんの処女長編です。本棚に眠っていたのをひっぱり出して読みました。長編小説はこれ一作しか書いておられないのではないかと記憶していますが、少し前に雑誌のインタビューでご本人は本作をあまり気に入っていないようなことを言っておられました。

でもこれなかなか面白かったです。ゴーレム、鉄仮面、水に浸された都市、自動人形、死体を写す彫刻師・・・といった小道具もそろっており、その映像イメージを文章化する能力は大変なものです。

気になった点が一つだけあります。ひとつの市という狭い空間のなかで、登場人物が組み合わせを変えてはあっちこっちへ動きまわるため、その動きを追っていくのがなかなか大変だということです。あまり記憶力の良い方ではないのでちょっと混乱しました。

巻末の解説がこれまた面白くて、SF作家の階級闘争とでもいうような、時代を感じさせる文章で、80年ってまだこんな雰囲気残ってたかなあ・・・と驚きました。本編とはあまり関係ないけど。

これ現在絶版中なんですが、ヤフオクでなんと8000円で売ってました。買う人いるのかなあ?僕のは初版本だけど、背表紙が完全に変色してるし汚いからだめだろうな。

Yamaokamen

2011年10月23日 (日)

パロマー / イタロ・カルヴィーノ

カルヴィーノの最後の作品。例によって連作短編です。これ、単行本で刊行されたときに読んでるんですが、あまり印象に残っていませんでした。

今回久しぶりに実家から持ってきて読んだら、なかなか面白かったです。

カルヴィーノの文章はかなり理屈っぽくてかつシニカルな感じなんですが、この作品でももちろんそういったカルヴィーノっぽさが出ています。ただ、なんとなく少し落ち着いた、達観したような静謐な感じが全体に流れているように思われました。これが最後の作品であることと関係があるかもしれませんし、全体に「見る」とか「視線」ということに関わるテーマがあるからかもしれません。

いわゆる物語性を楽しむ作品ではなく、もう少し抽象的な思索を楽しむというような楽しみ方が必要な小説です。他のカルヴィーノの作品もそんな感じなんで、マルケスやピンチョンを読む楽しみとはちょっと違う感じですね。

Palomer

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