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2013年1月20日 (日)

L.A.ヴァイス / トマス・ピンチョン

ピンチョンの現時点での最新作です。巷でもめずらしく普通に読めると評判だったんですが、確かにピンチョン作品としては異例といってよいわかりやすさでした。とは言うものの、相変わらず異様に多い登場人物とエピソードの錯綜のおかげで、300ページほど読んだところで少々混乱し、最初から読み直すこととなりました。そもそもピンチョンの小説は僕の矮小な記憶キャパをいつも越えてしまいます。

分野で括るとこれ、完全に探偵小説として読めます、というか探偵小説です。主人公の探偵事務所に昔のガールフレンドがやってきて仕事を頼むというイントロからして完全に探偵小説の定石です。
ピンチョンらしさは随所にみられますが、今回の敵役も結局、この世界(アメリカ?)を「支配し制御」しているシステムそのものというピンチョンのほとんどの作品に共通するパターンになってます。主人公は常に薬でへろへろ状態なんですが、それでも自分なりの規則があるらしく、使う薬物に基準があるようです。また探偵家業といいながら金銭授受がほとんどなく、引き受けるかどうかも自身の基準により決めているようなところがあります。
要するに「支配され制御された」価値観に毒されることなく自身の基準により自分の世界を制御しようとしていると言うことでしょう。主人公の周りの人間たちも個々に干渉することなく自然に助け合って生きているように見えます。とりあえず非常に上質のエンターテイメントとして読める作品で、僕は面白かったです。志村正雄さんが昔どこかで「あまり面白くなかったという趣旨のことを書いておられた記憶があったのでどうかと心配してたんですけどね。
日本語タイトルについては翻訳者があとがきにもその苦労を書いておられましたが、個人的にはちょっと反則じゃあないかという気がしました。「インヒアレント・ヴァイス」でよかったんじゃないかなあ。(意味わからんかったけど。)
ともかくこれで、今のところの全作品を読んだことになります。旧訳含めてですが・・・・
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