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2015年7月25日 (土)

泰平ヨンの未来学会議 / スタニスワフ・レム

早川文庫で新訳で出されたレムの泰平ヨンシリーズの一遍。映画の公開とタイミングを合わせての出版のようです。・・・というわけで映画の方も観てきました。

まず小説の方ですが、未来学者の会議に招待されたヨンがホテルの水に混入された化学物質の影響で幻覚に襲われるのをきっかけにどんどん現実の幻覚の区別のつかない世界へと入り込んで行くという内容です。その幻覚の描写がなかなかすばらしく、読んでいても頭がおかしくなりそうな感覚にさせてくれます。

レムの小説にはソラリスをはじめとするシリアスなものと、泰平ヨンなどを主人公とした文明批評や風刺的な作風のものがありますが、個人的には泰平ヨンシリーズについてはさほど熱心なファンではありません。でもこれはなかなかおもしろかったです。

で、映画を観たのですが、まず、ストーリーが大きく変更されており、ハリウッドの女優が主人公となっています。骨格となる物語をすっかりかえてしまってしまっているのです。では何が原作に基づいているかというと、幻覚に支配された世界の描写です。これをすべてアニメーションで表現するという手法で非常に見事に映像化していました。

確かに小説の主人公ヨンは基本的に傍観者的に外側から色んな世界を観察する立場の人物なので、映画の主人公とするにはいまいちな気がします。なんらかのオリジナルストーリーが必要だったのでしょう。

・・・ということで映画も小説も面白かったのですが、映画の方はかなり難解な印象をもたれる人が多いのではないかと思いました。

この前に観たピンチョン原作のインヒアレントヴァイスほどではないですが、今回も観客数は少なく、これで採算合うのかなと心配しながら、このような商業的でない映画を提供してくれる映画関係者の方々に密かに感謝しておる次第です。

国書刊行会のレム・コレクションの5冊目?の短編集が同時に出てたのでこれも購入済み。「大失敗」から何年ぶりだろう?もう出ないのかと思ってました。予定ではもう1巻出るはずですがいつのことやら・・・。まあのんびり待ちます。どの道まだ読んでない本がかなり本棚に残ってますし。

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